非腫瘍の過形成病変はもちろん、良性腫瘍である腺腫では状況によっては数年単位でも大きさは変わらないと考えられており、今回大腸内視鏡検査時に同定された病変は、1年前まで遡っても存在していると考えるのが妥当であり、その段階で発見できなかったものと考えられます。
大腸の検査手段としては、最近の機器の進歩で2mm程度でも病変の認識が可能であり、かつ、治療も同時に施行できる大腸内視鏡検査がベストであることはいうまでもありませんが、病変を発見しにくい場合として(前処置が悪く残便がある場合を除くと)屈曲部を中心にした観察の死角部位の問題があります。
左図に死角部位を示しますが、襞の深い上行結腸(A)、屈曲部(特に越えてすぐの内側)である肝彎曲部(B)、横行結腸中央(C)、脾彎曲部(D)、SDJ:S状結腸下行結腸移行部(E)、RSJ:直腸S状結腸移行部(F)では、襞や屈曲部をかき分ける様に何度もチェックする必要がありますし、肛門入ってすぐの直腸下部(G)では内視鏡反転操作をして逆方向から観察する必要があります。
他院で大腸内視鏡検査を受けて異常を指摘されなかった部位にあらたに病変がみつかったクリニックでの実例を3例お示しします。第1例、第2例は比較的大きな病変であり、同じく死角部位である肝彎曲に存在していました。前者は蠕動が強いIBSパターン、後者は過長な大腸で残便があるなど前回検査で見いだされなかった要因が推定できますが、慎重な観察が必要であることを物語っています。第3例は4mm大のIIc病変ですが、小さな病変でも陥凹型腫瘍は早く進展すると考えられており、実際1cm以下のsm癌(粘膜下層浸潤癌Q&A2の図B以深)も存在しますので、特に死角部位は何度もチェックする必要があることを肝に銘じて検査に臨むことが重要です。また、言うまでもなく、元来発見が難しい場所であるわけですし、そうでなくとも小さな病変ではその場で切除しないと再検査時に病変が発見できないこともありますので(クリニックでは粘膜付着部2cmをめどに一括切除できる病変が基準)外来即時切除が重要です。 |