入院しないで外来治療することをEDS(Endoscopic Day Surgery 日帰治療)といいますが、切除時は勿論、切除前後のリスクマネージメントに配慮できれば、Q&A 2で述べましたように、内視鏡治療対象となる大腸腫瘍の99%は、外来で診断と同時に治療まで1回で完結させることができ、私自身、前職の神戸大学を含めて1983年以降多くの施設で施行させていただいてきました。
大腸癌は増加の一途を辿っています。また日本人女性の死亡率1位と最近報道され早期発見が益々重要になってきました。現在健康診断や人間ドックで採用されている大腸癌検査は便潜血検査ですが、確かに便潜血検査を毎年行うと大腸癌死亡率を下げたという報告はありますが(Minnesota Study 1997)、便潜血検査は進行癌(図のD)が存在していても15%(2回法)〜25%(1回法)が陰性となってしまうのです。ましてや前癌と考えられている大腸腺腫の発見には便潜血は殆ど無力といえます(腫瘍マーカーもほぼ同様の有効性です)。大腸癌で命を落とさないためにはリンパ節転移を伴わない段階、すなわち早期癌の中でも癌浸潤が浅い段階までの発見し切除することが重要ですので、残念ながら便潜血検査が陰性であることだけでは万全とはいえません。