  | 第1,3木曜日午前は西宮市立中央病院で内視鏡治療の機会をいただいています。12月4日の第1例は、9月に神戸の検診併設施設でGIII良性腺腫として半年後の経過観察となっておられた方ですが、ご主人様のクリニックでの大腸内視鏡検査に同行された際に御相談をお受けし再検査させていただきましたところ肉眼的に陥凹かつ発赤をともない内視鏡所見のみで胃がんに準じて扱うべき病変と判断できましたので当日早速切除の段取りを詰めさせていただきました。元来、良性腫瘍(腺腫)の扱いにはピロリ除菌で縮小するとの報告を含めて色々な対応がありますが、分化度の高い胃がんとの鑑別が困難な場合も多く基本的には腫瘍性病変であれば切除するスタンスで対処しています。特に内視鏡所見で病理組織と合致しない場合は慎重な対応が必要と考えて来ましたが、本症例は再検査時の生検病理組織検査では胃がんtub1という結果でした。ESD(切開剥離)は容易な前庭部ですが、蠕動が著明で幽門輪近傍の処理に少し手間取りましたが無事完遂しました。
第2例は西宮市立中央病院の症例(上ケ原病院からのご紹介)で大腸回盲部のLST-G腫瘍でした。正面視となる最深部ではなくESD対応可能な部位ですが反転操作は困難な部位で、順方向で肛門側を切開+トリミングを開始、全周を処理した後、左側臥位にすることで重力で病変が展開しましたが、線維化が強く約半分剥離を終えた段階でスネア切除としました。剥離時に止血操作を繰り返していた動脈の延長部分から拍動性出血を認めましたが、ソフト凝固で止血し終了しました。
年明けまで第1,3,5木曜日午前、午後はESD(切開剥離)予定で詰まっていますが、本日午後は佐野病院が神戸市垂水区の行事にご参加ということでスケジュールできずクリニックで書類作成、講演(12月6日、7日)準備、原稿校正、開院後の初期指導の準備に充てました。クリニックでの内視鏡検査増枠を視野に現在、看護スタッフ、事務スタッフを募集中(とらばーゆ)ですが、一方、ESD(切開剥離)の新規ご依頼もあり、第2,4木曜日午前午後、第3火曜日午後、第2,4土曜日などクリニックを休診とし院外施設でお世話になっている時間帯の再調整を検討中です。
本日の2例で、開院後休診日に複数の入院施設で施行させていただきましたESD(切開剥離)切除が68例になりました。68例のうち22例はクリニックで診断し各施設へお連れし治療させていただいたものです(現在のところクリニックで診断した内視鏡治療適応例で自ら治療しなかったのは胃癌1例のみ)。最近でこそ、胃病変についてはようやく基幹施設ではESD(切開剥離)対応が可能になってきましたが、対応できる施設の少ない大腸、食道病変、ましてや疾患頻度の極めて少ない十二指腸、小腸病変につきましても開業後も継続して治療にあたらせていただくことができておりますことは関係各位の御高配の賜物と厚く御礼申し上げます。
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