   | 第1,3,5木曜日午前は西宮市立中央病院でESDを中心とした入院を前提とする内視鏡治療の機会をいただいています。
3月6日下記内容の講演予定です。
IBDの増加は著しく、その治療もここ数年で大きく展開しています。本院では、2012年1月現在、潰瘍性大腸炎305名、クローン病51名となっていますが、以下の点について本院での成績を中心に問題点をご提案させていただき、意見交換の上、今後の病診連携に役立たせていただくことができれば幸甚です。
●UCの70%は5ASAで制御可能だが、時間依存型5ASAであるペンタサの高用量使用の有効性は勿論、アサコールに続くさらに2剤のpH依存型5ASAの治験、5ASAの服薬方法や座薬など局所治療薬の治験も終了し5ASAも使い分けてゆくことが求められる時代にようやくなった。これらの治験にも全て関与させていただいた経緯を踏まえて、「70%」の増加が期待できる新たな5ASAの展開について本院の成績および可能な範囲で治験の成績を踏まえて述べてみたい。
●残る30%のUCでは、治療指針ではステロイド適応例となる。ステロイドの反応性により、治療効果不良例では(中等症、外来対処可能な治療としては)CAP、AZA/6MP、IFX、タクロリムスを使い分けることが治療指針となっている。ステロイド反応性としては,50%が有効で離脱可能(UC全体の15%)、25%が有効だが離脱出来ない(ステロイド依存性=UC全体の7.5%)、25%が効果不良(ステロイド抵抗性=UC全体の7.5%)に大別出来るが、依存性+抵抗性=難治性として、上記の治療法を使い分け、ステロイド維持をしないことが求められる。症例の病勢が強いのか(治療速効性の必要性)、5ASAの制御を越える期間が長いのか(維持療法の必要性)をもとに使い分ける事になるが、病勢に余裕がある場合では、ステロイド使用前にCAPを行うステロイドナイーブ使用のエビデンスが揃いつつある。本院では積極的にCAPやAZA/6MPをナイーブ例に使用しており、ATM療法例(一部広島漢方例)を含めて実際の成績を供覧する。
●UCでは5ASAを最大限効果的に使用し、5ASAを越える例では上記をステップアップで治療しているが、クローンではIFXのトップダウンがスタンダードになりつつある。5ASAを越える例では、寛解導入+寛解維持を同じ薬剤で行える事が重要であり、UCでの保険適用、GCAPとの併用の有効性、AZA/6MPは妊娠例ではカテゴリーD、IFXはカテゴリーBでもあり、IFXの重要性がますます求められる。AZA/6MPの妊娠期での安静性の見直し、逆にIFXの妊娠後期での胎盤移行についても一部触れたい。
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