Report23:2008.03.29 潰瘍性大腸炎の患者様が100名を越えました




前職 神戸大学病院から、現在までのところ63名の潰瘍性大腸炎の患者様がクリニックにお越しになられていますが、開院後10ヶ月で、あらたに39名の患者様が、直接ご自身で、また、医療機関からのご紹介で来院され102名となりました。

潰瘍性大腸炎の治療で最も留意していることは「即効性があり有用なステロイド(副腎皮質ホルモン:経口の場合多くはプレドニン)を如何に短期間で効果的に使用するか」です。適応に際しては十分量のペンタサや注腸療法によりステロイド使用を避けることができないかを十分の吟味することが重要ですし、ステロイド使用し有効でも減量や中止で再燃する「ステロイド依存性」では免疫抑制剤(アザチオプリン:アザニン/イムラン、6MP:ロイケリン)を活用し可及的すみやかにステロイドを中止(離脱)することで副作用軽減かつ総投与量を抑制し、次回ステロイドを使用すべき時のために温存することが重要です。また免疫抑制剤のモニタリング(6TGN)も可能になりました。

ステロイド抵抗性に対して使用されることの多い血球除去療法ですが、ステロイド使用前に活用することでステロイド使用を避けることができることを前職 神戸大学での研究成果として報告してきました(現在、六甲アイランド病院勤務 西岡千晴 先生が中心となって検討してくれました)。副作用の殆どない血球除去療法は患者様にとってメリットの大きい治療法ですが、原則週に1回、治療所要時間として90分程度の時間的拘束があります。その敷居を下げるためには、本院の様に外来施行かつ土曜日の対応など時間帯にも選択肢があることが重要と考えています。一方、順天堂大学 大草先生が始められたATM療法はステロイド依存性例でのステロイド離脱に有用とのことですが、さらにより軽症例に対しても潰瘍性大腸炎の根本治療としての側面は朗報であり、副作用との天秤ではありますが短期2週間の内服ですので今後の検討が期待されますし試みる価値はあると考えています(私が潰瘍性大腸炎であれば一度試してみるでしょうから)。ATM療法はクリニックでは既に20例を越える実績があります(経費は自由診療の項をご参照ください)。

IBD治療は多くの選択肢があり、豊富な経験を前提とし、副作用の多い薬剤使用から内視鏡を中心とした形態学まで、消化器内科医としての総合力が問われる領域です。治療医が内視鏡を自ら施行し、その微細な変化を認識しなければ検査を治療に活かす意義は半減します。また人生の岐路に直面する世代の患者様が多く、その対応によっては人生を左右することもあることを重く受け止め、生活背景も考慮した柔軟性も必要であることを肝に銘じています。現在のところ残念ながらIBDは根治する病気ではありませんが、病勢をコントロールする手段はいくつか揃ってきました。病勢が強く外来でコントロールが難しい場合は別にして、治療原則は「学業や仕事を中断の上入院し集中的に治療を行う」のではなく「通常の生活をした上でかつ病状が安定する治療を見出すこと」が患者様の貴重な時間を活かすことにつながると考えており、病状に応じてセルフコントロールしながら病気と共生することを念頭に取り組んでいただきたいと思っています。クリニックでは安定期の処方日数の配慮や作成書類の完成後郵送などきめ細かい対応をもってあなたの貴重な時間を極力活かせるよう応援しています。「私自身が、私の医師としての知識・経験を有した上で、IBDに罹患したあなたの立場であれば、どういう検査治療をし、どのように医療機関に対応して欲しいか?」を実現できるよう自己研鑽を前提にスタッフ一同全力を尽くします。その時々でのベストチョイスをご一緒に考えながら見つけてゆきましょう。

3月29日(土)は、リッツカールトン大阪で16時30分から前職神戸大学時代のメンバーである佐竹先生の結婚式がありスピーチと演奏の機会をいただきました。結婚式披露宴では演奏の機会を賜ることが多いのですが、今回は演奏の出番が宴の中で早く、かつピアノトリオの生演奏が入るということで、愛の讃歌・マイウエイなどのポピュラーな曲ではなく、コンサートでよく演奏致しますマスカーニ「アヴェ・マリア」をピアノトリオ譜作成の上演奏させていただきました。当日はクリニックオープンの土曜日でしたが、朝から胃内視鏡3名・大腸内視鏡5名・潰瘍性大腸炎の血球除去療法1名、および(事前に一般診療予約は中止していましたが)予約外で来院されました患者様の診療を終えて大阪へ向かいました。予想はしていましたが開宴15分前16時15分にぎりぎり滑り込みで会場入りし1回リハーサルしすぐ開宴になりました。

宴では、昭和大学横浜市北部病院 工藤進英 教授、神戸大学病理学 横崎 宏 教授、御両名とは1月13日(日)の池原先生の結婚式に続いて、また今回は神戸大学再編の際に多大なご尽力をされました神戸大学第2内科 同門会長 加古川市民病院名誉院長 鎮西忠信 先生、当時の医局長 山田浩幸 先生(現在、六甲アイランド病院内科部長)、さらに六甲アイランド病院院長 北垣一成 先生 他と同席させていただきました。マスコミでもよくとりあげられる大腸内視鏡のスーパードクター工藤先生には、(現在)佐野病院院長 佐野 寧 先生が1995年にお世話になって以来、前職神戸大学時代に配下のメンバーが10数年にわたり継続して1から2年お世話になりました。またその中の少なからずの者が神戸大学に戻ってからは横崎先生のところで病理学の研鑽を積み内視鏡医に不可欠な病理の素養も身につけています。人間的にも信頼できる有能なメンバーとの連携は私自身の人生においてもかけがえのないものであり、患者様にもご推薦できる消化器内視鏡医として順次リンク集などでもご紹介してゆきたいと思っております。



Report22:2008.03.22 第15回 IBD クラブジュニアウエスト




3月22日(土)午前は、神戸大学第2内科の後輩、小谷先生が赴任しておられる宝塚第一病院で、ESD(内視鏡切開剥離術)による胃癌切除の機会を賜りました。技術的に難易度は高くない前庭部病変でありましたが、小谷先生を始めスタッフの方々、オリンパスの御協力のもと慎重、確実に完遂させていただきました。順調に終了しましたので、散歩がてら阪急 売布神社駅まで歩いて、第15回IBDクラブジュニアウエストの会場である千里ライフサイエンスセンターへ向かいました。最近は梅田の毎日新聞社オーバルホールでの開催が多かった本会ですが、千里ライフサイエンスセンターライフホールは、前職時代に何度か講演をさせていただいたホールでもあり、久しぶりに訪れ懐かしく当時のことが思い出されました。また先駆けて開催された運営委員会では久しぶりに運営委員の先生方との交流のひと時でした。

IBDクラブジュニアウエスト(IBD Club Jr. West)は、2001年3月31日に第1回が開催され、その後、年に2回づつ回を重ね今回が第15回になります。東京で開催されていたIBDクラブジュニアの関西版として発足しましたが、IBD(炎症性腸疾患)に関する実質本意の研究会として西日本全体に拡がりをみせ今回も多数の参加がありました。兵庫医科大学 福田能啓先生のご高配により、第1回目から運営委員として参画させていただきましたが、今回は兵庫医科大学 西上隆之 先生と御一緒に症例検討3題の座長をさせていただきました。IBD(炎症性腸疾患)は潰瘍性大腸炎/クローン病を中心として、ベーチェット病など膠原病に類される疾患、また薬剤性腸炎、感染性腸炎などとの鑑別も必要となり診断面でも苦慮することも多い領域です。その治療は、免疫調整剤・生物製剤を中心に選択肢が大きく拡がっていますが、各々の疾患自体もHeterogeneousな集合体ですので、患者様の社会的な要素も考慮しながら治療法における有効性を副作用と対峙見極めて適切に選択してゆくことが必要です。そのためには経験の蓄積はいうまでもなく、臨床薬理学・免疫学から内視鏡・病理を中心とした形態学まで消化器内科医としての幅広い総合力が求められる領域で、本会のような実質本意の会で忌憚のない意見交換をすることが非常に重要になります。通常の学会と異なり本会は議論中心の様式をとっており本日も1題20分の予定でしたが3題で80分におよぶ活発な議論となり座長をさせていただきながら私自身もおおいに益するものがありました。クリニックのサブネームにもIBDを冠しております様に、開院後も新規に多くの患者様にお越しいただいており、特に、潰瘍性大腸炎の患者様は100名を越しています。若年期から長期に関わり、患者様の人生の節目で難しい局面を乗り越えてゆくお手伝いをさせていただくことが多いその治療は、臨床医として大きな責任を負うことを肝に銘じ、繊細かつ大胆にベストチョイスを提案できるよう精進したいと思います。


Report21:2008.03.15 本業の講演が続いております




独立後も継続して講演のお声をおかけいただいておりますことに感謝申し上げます。皆様のご支援で、クリニック開院後丁度10ヶ月が経過3月15日(土)までで上部内視鏡783、下部内視鏡905、ピロリ除菌200、潰瘍性大腸炎ATM治療20を越えました。上部ではピロリ・逆流性食道炎、下部では大腸腫瘍・炎症性腸疾患、上部下部ともに動画を含めた内視鏡診断治療につきまして、クリニックでの自らのデーターを元にお話させていただくことが可能です。大学在職中は年間20〜25回ほどの講演の機会を頂いておりましたので講演は負担にはなりません。up to dateな情報入手を含めて自己研鑽に精進いたす所存ですので、お役にたてる機会がございましたら、医療関係者以外からの依頼も歓迎ですのでお気軽にお声をおかけください。

2008年3月9日(日)アステップ神戸で開催されました日本女性薬剤師会神戸地区平成19年度後期スクーリング講座で、14時からの「逆流性食道炎」を担当させていただきました。また3月13日(木)19時からは神戸チサンホテルで第2回診診連携の会で講演の機会を賜り、平素、内視鏡をご紹介いただいております先生方に加えて内視鏡検査を積極的に展開しておられますおう内科クリニック 王 東明 先生、中院クリニック 中院達也 先生、坂下内科消化器科 坂下正典 先生との意見交換もさせていただきました。
おう内科クリニック
http://health.yahoo.co.jp/hospital/detail.html?hospitalNo=958989
中院クリニック
http://www.nakanoin.or.jp/
坂下内科消化器科
http://www.sakashita-naika.com/index.html

王 先生は、神戸大学第2内科で、私の前任 佐伯 進 先生がグループを指導しておられた時から一貫してピロリ菌を研究された専門医、坂下先生は私が神戸大学在職中にグループをささえてくれた大腸内視鏡のエキスパート、また中院先生は朝日ビル中院クリニックをお父様より昨年4月から引き継がれましたが、私が神戸大学在職中に大腸内視鏡の研鑽をされました。今後もよい連携の継続したいと願っています。講演後、荒木美枝子 先生、楠井晶子 先生がクリニックの見学にお越しになられました。

4月19日(土)には神戸大学第2内科の大先輩であります 神戸市中央区内科医会会長 小西明和 先生のご高配で、16時生田神社会館で『ピロリ感染の有無を軸にした上部消化管診療の実際』慢性胃炎・胃癌・消化性潰瘍から逆流性食道炎・食道腺癌の時代へ と題して講演の機会を、また4月13日(日)15時15分からは開業セミナーでの講演の機会を賜っております。






Report20:2008.03.06 HHC(Hyogo Helicobacter Club)/クリニックで外来切除した病変(3)




3月1日(土)は16時からHyogo Helicobacter Club 2008が開催され、特別講演をしていただきました大分大学 村上和成 診療教授の座長をさせていただきました。故 下山 孝 教授のご指導で、兵庫医科大学 福田能啓 教授を中心に10年にわたり兵庫県のヘリコバクターピロリ感染に関する実地診療の普及を担ってきた研究会で今回で区切になりました。前回は丁度1年前の2007年3月31日(土)すなわち私自身の神戸大学在職最後の日であり、理不尽な経緯に対する失望と開業独立に対する不安のピークであり、今、振り返っても感無量です。その2ヶ月前の2007年1月26日には大分大学 藤岡利生 教授に神戸大学籍での講演の最後として大分に招聘いただきましたが、今回は村上診療教授に講演をいただく形となりました。村上先生にはピロリ菌除菌治療のお話を賜りましたが、この領域は私自身も研究領域の一つとして取り組んで参りましたテーマです。第1次除菌は2000年にプロトンポンプ阻害剤+アモキシシリン+クラリスロマイシン3剤を1週間の治療法として、また、第2次除菌は2007年8月にプロトンポンプ阻害剤+アモキシシリン+メトロ二ダゾール3剤1週間の治療法として保険適応になりました。第1次除菌の成功率は約85%で不成功はクラリスロマイシンの薬剤耐性が主な原因です。第1次除菌不成功例の残った15%の方に対しての第2次除菌の成功率は約90%であり2回の治療で100人中98.5人と大多数が除菌に成功します。2次除菌不成功の原因は1次除菌のクラリスロマイシンほどではありませんが、メトロ二ダゾールの薬剤耐性が関与しています。2次除菌の薬剤組み合わせの方が1次除菌より強力な治療内容ではありますが、2次除菌治療はあくまで1次除菌不成功例を対象として保険適応になっておりますので、保険診療下では2回の治療まで選択の余地はなく薬剤耐性検査も結果論ではありますが不要ということになります。クリニックでは、開院以来10ヶ月で約200件の除菌治療を施行しておりますが、潰瘍を有する保険適応除菌治療に加えて、保険適応外、すなわち、潰瘍を有していない方や内視鏡、胃透視など画像検査未施行の方の第1次、第2次除菌はもちろん、第2次除菌で不成功に終わられた方々に対する第3次除菌以降に関しましても保険診療10割相当額の実費による自由診療で対応する準備を整えております。また尿素呼気試験測定装置Ubit300を備えておりますので、ピロリ菌検査が初めての方であっても1回の受診で検査、治療薬投薬まで完遂できます(除菌判定は除菌治療終了後4週間以降に尿素呼気試験で判定する必要があります)。

開院後10ヶ月になろうとしておりますが、継続して医療関係者を中心に多くの方々がクリニックの見学にお越しいただいておりますが、2月29日(金)には西宮市立中央病院消化器内科、内視鏡センター長 小川弘之先生、3月4日(火)には毎日放送診療所 主任看護師 塩田明子 様がお越しになりました。また3月1日(土)昼には、大学の同級生でサークルで4年間ご一緒した東京海上 関口 明、パナソニック 老田 浩 様もお越しいただきました。ご都合が合わず、診療時間帯の来訪のため、検査の合間の数分でしたが久しぶりの一時でした。

本日3月6日(木)西宮市立中央病院では胃、大腸、1例づつ計2例のESD(切開剥離)治療でした。胃の病変は前庭部後壁から大彎病変で順調に完遂しました。続いての大腸病変はクリニックにご紹介いただいたLowerからMiddle Houston Valve全体にまたがるLST-G病変でした。ご紹介いただいた際に拝見していた写真でも中央の瘢痕様陥凹が気になっていましたが(生検痕ではないとのこと)、局注にてもリフトせず難渋し時間を要しました。

ありがたいことに、クリニックでは、内視鏡治療に関するご紹介、ご相談も多くいただいており、外来切除できる可能性がある場合は、リスクマネージメントを前提にクリニックで外来切除を施行しています。左記、3月5日の病変は、他施設での初回大腸内視鏡検査で、内視鏡治療か外科手術治療かの判断を含めて再検査が必要との診断であったため、セカンドオピニオンとして紹介受診をいただきました。写真を拝見し、外来切除できる可能性ありと判断し、3月5日(水)クリニックで大腸内視鏡検査をさせていただき、総合的に判断しその場で切除しました。同日は大腸内視鏡を8例施行しましたが、ATM治療後の内視鏡判定が、そろそろ始まっています。ATM治療は遠方からもお越しになっておられ、クリニック開院後現在まで18例の方に施行しました。消化器症状で1例服薬できませんでしたが、他の方は程度の差はありますが多くは改善傾向を認めているようです。



Report19:2008.02.23 2月21日(木)エレガーノ甲南ホールで演奏(テノール)でした




土曜日の診療/検査のご希望を多く賜っておりますが、現在、第1、3、5土曜日のみのオープンです。一方土曜日には本業の研究会や講演のご依頼も賜り午後の時間帯の最後までクリニックをオープンにできないことが多くございます。3月も1日(土)は内視鏡学会地方会開催に加えて、夕方から神戸ポートピアホテルでヘリコバクターピロリ関連の研究会の司会に兵庫医科大学 福田能啓 教授にご高配いただいており、3月29日(土)は夕方、リッツカールトン大阪で大学時代のグループのメンバーの結婚式があり(面接官予定の内視鏡技師資格試験が午後東京であるのですが辞退)15時30分で診療は終了致します。そこで29日(土)につきましては申し訳ありませんが、内視鏡検査ご予約待ち緩和のため、外来診療はなしで朝から全てご予約の内視鏡検査のみとさせていただいておりますのでご留意ください(緊急の外来受診につきましては対応致しますので時間帯などお問い合わせください)。

クリニック休診時間帯のスケジュールは複数の医療機関での内視鏡が主体です。定期としては、第1・3木曜日午前が西宮市立中央病院でESD(切開剥離)による腫瘍切除/胆膵系内視鏡治療(ERCP)、第2・4木曜日午前が京都工場保健会神戸健診センター(元町)で経鼻内視鏡、第2、4木曜日午後が三木服部病院で大腸内視鏡、第3火曜日・第1木曜日午後が神戸市医師会診療所で大腸内視鏡、第2・4土曜日午前が南大阪病院でESD(切開剥離)による腫瘍切除/大腸内視鏡/胆膵系内視鏡治療(ERCP)他でお世話になっております。従って残りの第5木曜日、第3木曜日午後に不定期におうかがいしている佐野病院、県立尼崎病院でのESD(切開剥離)による腫瘍切除や平日通常時間での講演をお受けしています。

最近2週間では南大阪病院では、2月9日(土)はPTCーD抜去後のERBD挿入、本日2月23日(土)通常の大腸内視鏡検査でしたが、2月7日(木)西宮市立中央病院では胃癌のESD(切開剥離)による切除の機会をいただきました。前庭部後壁に発赤隆起および肛門側に低い隆起を伴い併せて5cmx3cm大の切除でした。部位から難易度は高くなく、内科専攻医の先生に前半部分を中心にトライしていただき指導させていただきながら完遂できました。2月21日(木)は、盲腸部のLST-G病変が局注でリフトしないということで昨年治療を断念されご相談を賜りましたが、内視鏡所見から深部浸潤はないと判断できESD(切開剥離)予定で臨みました。最深部ではないとはいえ、盲腸部はメスの角度が垂直になるESD(切開剥離)で対処しにくい部位であり全周切開後可能な限りの剥離後スネア併用と考えていましたが、幸い今回は局注でリフトし、そのままEMRで切除しました。

2月16日(土)は、現在 兵庫県立がんセンター(兵庫県立成人病センターから呼称変更)ご勤務の白川勝朗 先生が、この度6月から須磨区で新規開業されるとのことで、スタッフで御参画予定の方々とクリニックの見学に来られました。白川先生は私が大学でグループを担当させていただいた特に人数の少ない初期に多くのご尽力を賜り、その後、獨協医科大学内視鏡部で講師としてカプセル内視鏡やダブルバルーン内視鏡など小腸内視鏡の分野でもご活躍されました。診療終了後、クリニックのスタッフも参加し御一緒に近隣のイタリアンレストラン“ミーナ”で懇親の一時を持ちました。昨年10月に北区でご開業の坂下正典 先生、ESD(切開剥離)で不定期にお伺いしております佐野病院 佐野 寧、豊田昌徳 先生などグループを支えていただき、かつ現在内視鏡診療を中心として独立しているメンバーとは特に密に連携しながらすすめて行きたいと考えています(近々リンク集も整備予定です)。

2月21日(木)は、午前、西宮市立中央病院での内視鏡治療後、神戸市東灘区本山に移動し、以前からご高配いただいておりました「エレガーノ甲南」での演奏でした。施設の形態分類は「介護付有料老人ホーム」ではありますが神戸製鋼グループが誇る、ドマーニ神戸(垂水)、エレガーノ摩耶(HAT)に続く3号館として2006年に堂々オープン、ホテル仕様の高級感あふれる上質の空間、きめ細かい配慮を尽くしたサービスが提供されています。間接照明を駆使した暖色系のホールも併設され満席の70名のご参加を賜り、14時30分から約1時間、プロとしてご活躍のソプラノ長谷川眞弓 様、ピアノ西岡知子 様と御一緒に演奏させていただきました。音楽に造詣の深い入居者の方々も多く通常の演奏会同様の心地よい緊張感をもって楽しく演奏させていただきました。エレガーノ甲南併設のクリニック院長(神戸大学第2内科の先輩で(前)神鋼病院副院長)窪田伸三 先生、今回の演奏会開催を直接ご担当いただきました中尾知裕、小野陽仁 殿はじめお世話になりました関係者各位に厚く御礼申し上げます。月曜日から金曜日の日中で定期スケジュールがない時間帯は第3(あれば第5も)木曜日午後のみで、通常は不定期の内視鏡治療や本業の依頼講演に充当しておりますが、21日(木)は午前の内視鏡治療から午後の演奏→「左脳優位から右脳優位モードへのスイッチチェンジ」でしたが楽しく過ごさせていただきました。翌日2月22日(金)は、再び左脳優位モードへ切り替えて、朝から20時30分まで昼食5分のエンドレス状態の平素の診療スケジュールでした。

http://www.s-carelife.co.jp/
http://www.e-life-silver.com/nishi_nihon/elegano_konan/index.html





Report18:2008.02.03 大腸内視鏡検査の送気に炭酸ガスを導入しました:元町アマデウスでのテノール演奏




炭酸ガスはすみやかに吸収されるため、大腸内視鏡検査の送気に(空気ではなく)炭酸ガスを用いると、検査後のお腹の張りを防止でき、長時間にわたるESD(切開剥離)による腫瘍切除の際によく用いられています。残念ながら、以前他院で大腸内視鏡挿入が途中までしか挿入できなかったり、高度の痛みがあった挿入難易度が易くない方々も多くお越しになられておりますが、クリニックでは、幸い苦痛なく盲腸到達時間は45%が5分以内、45%が5〜10分、8%が10〜15分(盲腸部到達率99%以上)で挿入でき、ポリープを切除しても大半の例で20分程度で終了しておりますが、2月1日に炭酸ガス送気を導入させていただきましたことにより、検査後のお腹の張りはなく好評です。

第2、第4土曜日はクリニックは休診で南大阪病院でESD(切開剥離)による腫瘍切除や大腸内視鏡の機会をいただいたおりますが、1月26日(土)はダブルバルーン法による小腸内視鏡を施行させていただきました。自治医科大学 山本博士考案によるダブルバルーン小腸内視鏡は、内視鏡本体とオーバーチューブに取り付けたバルーン(風船)を用いて長い小腸を短縮しながら挿入してゆくもので、口および肛門からの挿入により、従来法に比して簡便に、全小腸の観察のみならず治療も可能になった画期的なものです。既に保険診療適用になっているカプセル内視鏡と組み合わせることにより、今までアプローチが困難であった小腸の検査に新たな展開がみられています。1月26日の検査目的部位は十二指腸と小腸の境目であるトライツ靭帯部分を少し越えたところでしたので2回の短縮で到達可能でした。

同26日(土)は、加えて大腸内視鏡3例を施行、午後はクリニックに戻り書類作成や原稿執筆の後、2月3日(日)に神戸元町のクラシック音楽ライヴ・コンサート&カフェレストラン「アマデウス」で演奏の機会をいただいている伴奏合わせを16時から1時間、神戸元町のYAMAHAで行い、その後、夏に企画している船上演奏会の打ち合わせで姫路へ向かいました。
http://www.amadeus-bwtj.com


1月31日(木)のクリニック休診日は、午前が西宮市立中央病院でESD(切開剥離)による胃癌の切除でした。体上部後壁病変で大きさは小さいものでしたが、大彎襞にかかる難易度の高いもので、予想はしておりましたが、非常に出血し易く何度か噴出状の出血処理が必要で時間を要しましたが無事切除できました。その後、垂水の佐野病院へ移動し、佐野 寧 院長、豊田昌徳 医師と御一緒に、大腸横行結腸のLST-NG病変のESD(切開剥離)による切除でした。写真の様に二襞にまたがる病変で、横行結腸内のスコープ反転処理後順方向でアプローチしました。

出演の機会をいただきましたアマデウスサロンコンサートは2月3日(日)12時開演で久しぶりにまとまった曲数の演奏でした。3年前からの教授選後の厳しい状況、かつ同時期に喉を痛め(主宰させていただいているグループの年に1度の新年会やお声をおかけいただいた機会に1、2曲歌うことはありましたが)その後、喉がなかなか回復せずテノールとしてまとまった曲を演奏する機会は控えておりましたが、ようやくめどがたち、今回は、敢えて“テノールのidentity”たる五線譜から上に出るアクートが必要なヘビーな曲をずらっと並べ、喉の持続力の回復度合いのチェックも兼ねていました。前日2月2日(土)はクリニックは診療日で、午後の大腸内視鏡は20時近くまでさせていただき、そこからのコンデイション作りはベストではありませんでしたが、長谷川香織 様のピアノ伴奏、お嬢様 華音 様のヴァイオリン友情出演により無事終了いたしました。お寒い中、会場はほぼ満席の63名のご参加をいただき厚く御礼申し上げます。
http://www.kanon-musik.com/menu.htm
http://www.amadeus-bwtj.com/seigaku_aoyama_nobuo.html

Report17:2008.01.18 あけましておめでとうございます:酒心館コンサート




2008年は1月7日から始動させていただきました。多くの方々のご支援で内視鏡検査予約待ち、IBD特に潰瘍性大腸炎、ピロリ菌関連の新規患者様も増加を辿っており夜間診療のない火曜日、土曜日午後の大腸内視鏡検査増枠を含めての調整を検討させていただいています。つきましては、特に夜間の負担分散を念頭に非常勤の看護師、受付の方を募集させていただいておりますのでよろしくお願いいたします(アイデムを介しても応募可能です)。

お正月休暇は、異動のご挨拶、および、3年間欠礼しておりました新年のご挨拶とを合わせてお出しする準備に追われておりました。結局年明けの発送になり大変失礼申し上げましたが、大半の方々には現状のご報告を含めてお伝えすることができました。多くの暖かい励ましのご返信を賜りましたことを厚く御礼申し上げます。

2008年のクリニック外の内視鏡治療は1月12日(土)南大阪病院での胃体下部小彎のESD(切開剥離)による胃癌切除から始まりました。病変は小さいのですが通常操作では全く近接できない厳しい状況で、豊永先生の吸引近接による“足払い”など駆使しても展開困難、少しでも近づける可能性のある2チャンネルなどのハード太径スコープもなく最終的にスネア切除に切り替えてクリアしました。1月17日(木)は午前が西宮市立中央病院での直腸LST-G病変のESD(切開剥離)による切除、午後が県立こども病院で、10歳代 男児の乳頭切開および総胆管結石摘出でした。

1月13日(日)は神戸大学在職中に、グループの大腸チーフとして支えてくれた池原伸直先生の結婚式が昨年秋にお目見えした「ペニンシュラ東京」でありました。池原先生は一連の経緯で、神戸大学を離れ、現在、昭和病院横浜市北部病院消化器センター工藤進英教授のところで勤務されています。工藤教授は大腸内視鏡の世界的リーダーとして知られた方ですが、工藤先生が秋田赤十字病院におられた1994年(現)佐野病院院長 佐野 寧 先生を皮切りに定期的にメンバーが1から2年毎にお世話になって来ました。披露宴では演奏(慕情)とスピーチの機会をいただきました。

翌、1月14日(月・祝)は、朝、東京から戻り、神戸大学医学部の同級生で(現)京都大学病理学准教授かつ「ヴァイオリンの名手」高橋 玲 先生と主宰させていただいております音楽グループの新年会演奏会を神戸御影の酒蔵を活用した素晴らしい音響の“酒心館ホール”で開催いたしました。ここ10年ほど、東京へは飛行機の利用ですが、14日朝東京から神戸への移動に際してのホテル、神戸のホールの地理的な要因から久しぶりに新幹線で新神戸駅を利用しましたが改札廻りが改装されすっかり様変わりしていました。
http://shushinkan.co.jp/hall/index.html

1月15日(火)は第3火曜日で、月1回午後クリニックは休診、神戸市医師会診療所で大腸内視鏡をさせていただいている夕方以降時間的に余裕がある日でした。4月に掲載の機会をいただいております、潰瘍性大腸炎・クローン病の専門情報誌である三雲社「CC JAPAN」の大竹由紀子 様が埼玉から取材にお越しになられました。当初クローン病を中心とした患者様のみの運営であった三雲社ですが、その後、大竹 様 他、出版専門のスタッフがお入りになられました。お話しをおうかがいし、患者様の目線で、一層充実した新たな展開を検討しておられる様子が拝察できました。
http://www.mikumosha.co.jp/ccjapan/ccjapan.html

Report16: 2007.12.24 2007年も最終週となりました




2007年5月12日(土)内覧会、13日(日)に内視鏡模擬診療開始後、7ヶ月が経過し、おおくの方のご支援のもと大禍なく年の瀬を迎えることができましたことを深謝申し上げます。12月15日(土)クリニックのスタッフに加え、開設に際し直接間接にご尽力いただきました方々と二軒隣のイタリアンレストラン“ミーナ(La cucina Italiana MI-NA)”で忘年会を開催いたしました。左は直前にクリニックのロビーで撮った写真です。開院前後のご支援は逆と対峙し終生忘れないことでしょう。

12月最後のクリニック外での内視鏡治療は胃癌のESD(切開剥離)が続きました。特に12月20日(木)は午前、午後と連続となりました。午前は西宮市立中央病院の患者様で胃角をまたいで体下部から前庭部にまたがる病変でしたが、小川弘之 消化器内科部長以下スタッフの方々とご一緒に無事切除完了でき、慌ただしくすぐに垂水の佐野病院へ移動しました。

午後の患者様は、県下でも大阪府に近い遠方にご在住の方ですが、先日クリニックにセカンドオピニオンで紹介受診されました。お話では、お近くの基幹病院で外科的に胃を全部摘出する手術が必要とされた状況でしたが、クリニック初診当日、予定内視鏡検査終了までお待ちいただき内視鏡を再検査させていただいたところ内視鏡切除可能と判断でき、急遽調整して20日(木)午後に佐野病院での切除を予定させていただきました。佐野病院では佐野 寧 院長、豊田昌徳 先生とともに一括切除でき(病理結果待ちではありますが)外科手術で胃を全部取り去るお体のご負担を回避できた可能性が高く、非常に価値のある内視鏡切除であったと思っています。

12月22日(土)は南大阪病院の患者様でしたが、前庭部前壁に存在し、かつ胃角や幽門輪にもかからない病変でしたので難易度は高くなく順調に完了しました。切除後クリニックに戻り、締め切りを過ぎた原稿執筆に充てさせていただきました。腹腔鏡の名手である副院長(外科部長)後藤 司 先生には、開院前後を含め終始いろいろな局面で大変お世話になりました。

2007年も残すところ1週間となりました。内視鏡のみならず、潰瘍性大腸炎の増悪しつつある患者様の治療に際しての難しい決断など年末年始に関わらずいくつか残っておりますが、スタッフ一同ご来院いただける患者様の立場にたっての診療を肝に銘じ臨む所存です。

Report 15: 2007.12.08 12月9日(日)クリニック開業セミナーで講演の機会をいただいています




●本日12月8日(土)は、土曜日午前に月2回定期でおうかがいしている南大阪病院で、胃体部小彎のESD(切開剥離)による胃癌切除の機会をいただきました。次回施行させていただく胃癌ESD前チェックの内視鏡、CF3件を含めて昼過ぎに終えクリニックに戻り、16時30分から所属させていただいております神戸市中央区医師会の総会&懇親会に出席させていただきました。神戸市の中核を担う中央区で置塩 隆 会長のもと大先輩諸氏、また同時開業の方々との交流をさせていただきました。

●明日12月9日(日)は、クリニック開業セミナーで講演の機会を賜りました(主催:シャープファイナンス株式会社06-6644-3893)。13時から三宮グランドビルで開催されますが、丁度1年前の12月9日は大学の厳しい状況に心身共に疲弊し神戸地区からの逃避を考えていたのを撤回した日。また3年前2004年12月8日は国際交流センターの教授選最終選考の日でもあり万感の想いがあります。

独立開業は大小は別にしてリスクを背負いますが、クリニックでのpolicyは、私自身が現在の専門的な情報を有した患者様の立場であれば、どうしてもらうのがベストか。単純かつ当然のことですが、なかなか大きな組織では種々の制約から実現できないのが現状です。患者さまにとっての必要十分なベストチョイスをご提案することに忠実であることが重要であり、スタッフ一同精進したいと願っていますし、明日はその旨、お伝えできればと思っています。

●12月6日(木)の西宮市立中央病院の胃癌ESD切除(近況報告14で報告の胃前庭部前壁)、本日12月8日(土)午前に施行した南大阪病院での胃癌ESD切除(胃体部小彎)の写真をアップします。

Report 14: 2007.12.06 11月29日(木)は午前午後連続ESD(切開剥離)治療:12月1日(土)指揮&テノール演奏でした




●木曜日はクリニックの休診日で、院外の複数の施設での内視鏡検査治療に充てていますが、11月29日(木)は第5木曜日に当たりクリニック外の定期スケジュールがありませんでしたので、不定期の予定を組みました。午前は県立尼崎病院で胃癌のESD(切開剥離)による切除の機会を賜りました。予想以上に胃角潰瘍瘢痕が強く、当初切開ラインに瘢痕部が当たったため、大回りに切開ラインを修正しかつ最後に切除(結局、後壁よりまで胃角を剥離)するなどストラテジーを変更し少々難渋しました。

●神戸市内基幹病院で入院し内視鏡切除を試みられましたが困難であったため外科切除手術を勧められた大腸癌の方のセカンドオピニオンのご紹介が11月初旬にあり、クリニックで至急大腸内視鏡検査を再検し切除できる勝算がたったため、佐野病院に入院の上、11月29日午後にESD(切開剥離)で切除でき幸い外科手術を回避できました。

横行結腸中央の屈曲部を越えてすぐの襞裏にあり、確かに内視鏡操作が困難な部位でしたが、佐野病院では自ら切開剥離ができる佐野 寧 院長、豊田昌徳 先生がおられますので、左図に示しますように反転操作でのアプローチでもポイントを得た内視鏡の保持など、絶妙に御協力いただき上手く切除できました(バイポーラBナイフのため切開ラインは少し不規則になっていますが)。

午前の尼崎、午後の佐野病院と宮野医療器にご栄転された中繁氏が同行されました。兵庫県を中心に施設でのESD(切開剥離)の立ち会いをされておりますが、お話しでも、既に各地で胃はルーテインに、また、大腸も開始しておられることがわかります。細かい作業が必要ですので高画質の内視鏡画像が重要ですが基本的な技術は大系化された感があります。午前午後連続ESD後、11月29日夜は12月1日演奏会の最後の練習でした。

●11月25日(日)南あわじ市、12月2日(日)三宮での難病連主宰「潰瘍性大腸炎・クローン病」相談会では平素外来ではゆっくりお話しができない内容などざっくばらんにお聞きすることができました。

●11月15日(木)ボジョレ解禁では飛び入りでヴェルデイ椿姫より「乾杯の歌」(詳細は近況報告13を参考)、12月1日(土)医学部演奏会では、テノールとして「ビーマイラヴ」、またチャイコフスキー弦楽セレナーデ3章、4章の管楽器入り編曲と指揮をさせていただきました。月水金の夜間診療は最近20時を越えることが多く、演奏会前日11月30日(金)も終了は21時近くでしたが、切り替えて充実した一時を過ごすことがことができました。

●本日12月6日(木)午前は西宮市立中央病院で前庭部前壁の胃癌のESD(切開剥離)による切除でした。切除サイズは5cm大と大きくなりましたが胃角、幽門輪にかかっていない難易度の高くない病変でしたので内科専攻医の先生にトライしていただきながらご一緒させていただきました。



前ページspaceTOPページspace次ページ


- Topics Board -