   | 第1,3,5木曜日午前は西宮市立中央病院で内視鏡治療の機会をいただいています。本日は、西宮Hの症例で胃体部小彎(後壁)IIc胃癌を、内視鏡センター長 小川先生を始め堀野先生、林先生と御一緒にESD(切開剥離)切除をさせていただきました。紹介元でG4しかでないとのことで多数回内視鏡再検+生検施行の末、西宮Hへご紹介があったため、病変表層は既にびらん+易出血性を呈し(A)中央部分は強い瘢痕が予想されました。(1)瘢痕のない周辺部分から適切な粘膜下層に入ること(2)術前から病変表層が易出血性であり詳細な観察ができず範囲診断が困難であったこと、以上から病変周囲に十分なセーフティマージンを確保すべく胃体上部から胃角まで広範に切除範囲を設定し全周切開を施行しました(B)。その段階で後壁側を中心に複数個所から再三の出血を認め止血に時間を要しましたがクリアしセオリー通り肛側からの剥離を開始し重力により病変は口側へ展開してゆきました(C)。胃体下部の近接困難な部分がクリアでき展開できれば通常は病変が反転し口側への一方向で完遂できるパターンですが、予想通り中央部分は強い瘢痕で筋層がもちあがっており剥離ラインの予想が困難な状況でした(D)。ニードルナイフを用いたエンドカットによる筋層方向への切込みも視野に入れましたが癌による深部浸潤は否定的でしたので方針変更し、口側からの剥離を加え(E)中央瘢痕部を残してほぼ全周性に剥離、最終的にスネアでクリアしました。
西宮でのESD(切開剥離)切除に時間を要し同病院を出たのが12時30分を越えたためタクシーでJR西宮駅へ向かい、簡単に昼食後、快速でJR垂水駅へ向かい14時丁度に佐野病院に到着、大腸ESD(切開剥離)切除を豊田先生と施行させていただきました。クリニックで2008年12月に施行させていただいた大腸内視鏡検査でRbに硬い腫瘤を認めた症例でした。痔核手術瘢痕の近傍であり瘢痕肉芽も考えましたがカルチノイドの除外が必要であり、外来EMR切除を試みましたが局注で全くリフトせず断念していました。本日も局注でリフトしませんでしたのでDual knifeで周囲切開/可能な範囲を剥離しスネア切除としました。腫瘤は切除出来ましたが痔手術後瘢痕ライン(→)は結果的に剥離困難でした。
本日の胃ESD1件、大腸ESD1件を加えて、開院後、休診日院外施設での消化管ESD(切開剥離)切除は計91件になりました。関係各位の御高配に厚く御礼申し上げます。 | |